藤井光個展 "芸術、起源、デモクラシー"

今日は上野で勉強会のあと、向島の現代美術製作所で行なわれている藤井光さんの個展 "芸術、起源、デモクラシー"へ。


http://www15.ocn.ne.jp/~g-caf/


藤井さんは、今年の1月に横浜のBankART NYKで名和晃平さん、田幡浩一さん、山川冬樹さん、桂英史さん、遠藤水城さん、森弘治さんらと参加されていたシンポジウムで初めて知り、アクティビストとして異彩を放っていて興味深かった印象。今回の展示も、宮下公園のNIKE化計画など社会的、政治的なテーマの作品で構成されていて、特に渋谷警察署の前でのデモ(というか向かい合う警察官の壁に対する活動家の人たちの言表行為)の記録映像など見応えあります。


ルーブルに火をつけろ」と言ったクールベからハンス・ハーケ、最近ではバンクシーまで、芸術/芸術家の社会問題、政治問題へのアプローチには長い歴史がありますが、今の東京に暮らす僕たちにとって、宮下公園のNIKE化計画や渋谷警察署前でのやり取りくらい現実味をもって考えられるものは少ないでしょう。その意味では十分にやる価値のある問題。とはいえ、それが非常に複雑な事柄である以上(少なくても僕はそう考えている)、どのように取り組むかはなかなか難しい。芸術としていかに社会的、政治的テーマを扱っていくかは、時によってそれが単に作品を成立させるためのエクスキューズとして機能しかねないからこそ、熟慮を要するはず。少なくても、単に専制的な権力とそれに抑圧される側の対立という粗雑な図式は、様々な社会的立場や意見の人が有象無象に存在する現代社会だからこそ回避されるべきだし、いや、そもそもいつの時代だって単純な権力−抵抗という構図には収まらない多様な立場というのは存在したはずだから、そういう複雑性の中で批判的に論点を提出していくことこそ芸術の役割なんでしょうね。


その後、スタジオで終電まで制作。明日も制作です。