批評の現在

明後日23日に、批評の現在というシンポジウムが国立近代美術館で行われるようです。


http://artstudium.org/2008/session/


四谷アートストゥディウムが今年企画した一連のシンポジウム企画の総集編という感じでしょうか。パネリストは新進気鋭の若手中心という感じです。そのうちの一人が、僕がアトリエをシェアしている美術家の池田剛介さんで、最近バンクシーなんかをネタに美術とグラフィティの問題が交錯するポイントなんかをちょこちょこ話したりしています。まあ、だいたい公共性というキーワードを巡ってなんですが。


http://d.hatena.ne.jp/kosuke_ikeda/


話をしていて面白いのは、きちんと個別のライターや作品をベースに話しているので、よくありがちなグラフィティをめぐる抽象的な議論にはなっていないからでしょうか。池田さんは美術が専門なので、当然グラフィティに対する視線も美術の興味や問題意識から、ということになるんだど、こういった見方は確かにグラフィティそのものの理解とはまた別だとはいえ、とても意味のあることだと思います。どちらかというと社会学的な分析の対象になりがちなグラフィティですが、その場合どうしてもグラフィティという一括りのカテゴリーとして扱われがちで、抽象的で閉じた議論になり易いのかなと。そういう意味で個別の作品やらに立脚した美術批評の観点は、グラフィティを考える上で生産的で開けた議論をもたらしてくれるようです。あるいは、それは美術批評というよりも作家の視線かも知れませんが。


池田さんはバンクシーがお気に入りみたいですが、23日のシンポジウムでもそういった話を少しはするようなので、興味のある方は是非足を運んでみてください。